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グルコサミン 二重盲検試験 [グルコサミン]

東京大学医学部整形外科の川口准教授は以下のようなコメントをしております。
変形性関節症は、その細胞・分子メカニズムはほとんど解明されていないそうです。膝を筆頭として全身の四肢・脊椎が罹患する疾患で、数多くの年配者の健康的な寿命を短縮させているにもかかわらずです。したがって標的を絞った根本的治な療法は存在しません。よって治療法は対症療法の領域が出ていないのが現状のようです。現在用いられている薬物治療は大きく分けて二つになります。NSAIDsやステロイドなどの消炎鎮痛剤、そしてヒアルロン酸やグルコサミン、コンドロイチン硫酸などの軟骨基質成分の補充です。後者の内服薬は、日本では医薬品ではなく、その大半が栄養補助剤(サプリメント)として販売されています。その市場規模は国内外ともに莫大に膨れあがってきています。
これらのサプリメントの社会への浸透のきっかけを作った論文は、ベルギーの Reginster らが2001年に発表した論文です。彼らは、変形性膝関節症患者を対象とした無作為対照臨床試験において、グルコサミン投与群で、臨床症状のみならず、レントゲン上の軟骨破壊を有意に抑制したと報告しました。すなわち、グルコサミンは変形性膝関節症の対症療法ではなく軟骨保護作用を持った根本的治療法であると主張したのです。
同じ頃、米国の著名なジャーナリストが自分の変形性膝関節症に関してサプリメントの効果を強力にアピールする記事を New York Times に大々的に掲載しました。
これらは、変形性膝関節症に苦しむ世界中の多くの人々の注目を集め、瞬く間にサプリメントが変形性膝関節症薬の市場を席巻するに至ったのです。 Reginster の論文に対してはその後、患者の割り振りや分析法などに関して多くの疑問・反論がなされました。そこで米国のNIHが主導の多施設二重盲検試験(GAITスタディ)が行われました。
これによると、グルコサミンやコンドロイチン硫酸はほとんど疼痛抑制効果(WOMAC指標で20%痛みを軽減する割合)は見られないという結論でした。しかしながら、このスタディではプラセボ群でも半数以上の患者に痛みの軽減があることになっています。


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